仕立て直しの新提案

dscf2482掛軸は、コンパクトに収納することができるのが利点ですが、古いもの仕立直しには、作品だけの厚さする「剥がし」と言う、たいへん気を使う作業が必要で、手間と、その分のご予算が必要になります。

額装にするのであれば、作品部分を切り取って貼り付けるだけですので手間はかかりませんが、額も複数になると、一般のご家庭では収納に苦労します。

そこで今回は、コンパクトに収納するため、ある仕組みを考案いたしました。

dscf2492作品を貼り付けた板2枚を作成し、ひとつの額に収納することにしたのです。紙芝居のように、季節ごとに板の順番を入れ替え、鑑賞することにすれば、額1枚分のスペースで2枚分の作品を収納することができます。

dscf2480お預かりした古い掛軸は、同じ作者の「春」と「秋」の風景画2点です。折り目と巻きぐせで、掛軸が波のようになっています。折り目は状態によっては裂けている場合もあり、剥がす際はバラバラにならないよう、いろいろな対策をして作業しなければなりません。

dscf2486掛軸の作品部分を切り取り、布を貼った薄い板に貼りこみました。波打った状態の作品を剥がし、掛軸に仕立て、平らにするのは容易ではありませんが、今回は厚みのある状態のままプレスでシワを伸ばし、板に貼り付けるだけでしたので、簡単でした。

こちらは春の風景です。

dscf2488こちらは秋の風景。

dscf2490部分の拡大。板に貼り付けているので当たり前ですが、シワや裂け目はほとんど目立ちません。

dscf2497額に入れた状態。この裏に秋の風景が収納されています。

作品を生かす額のサイズは、幅600mm×高さ1500mm位が適切と思ったのですが、既製のサイズでは近いものがありませんでしたので、アドフレームさんで特注しました。

dscf2496秋の風景に入れ替えてみました。必要なのは小さめのプラスドライバーと、作品を立てかけておけるスペースだけです。

作品を貼り付けた板2枚と裏板のパネルで、かなりの重量になってしまいました。小さめの作品であれば、切り抜きマット用の厚紙を使用すれば、重量は抑えられるでしょう。深めの額を特注すれば、小さな作品であれば10枚程度の収納も可能かと思います。作品の収納にお困りの方は、この方式をひとつのアイデアとして検討してみてください。

 

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