沈め部分に千代紙を活用したデザイン表具を製作いたしました。
斬新な作品でしたので、作品を入手され、当店にご依頼に見えたお客様とご一緒に、裂地(使用生地)、沈め、形式を検討させていただき、このスタイルとなりました。
隙間をあけて3枚の材料を貼り合わせ、その「隙間」で細い線を表現する技法を「沈め」と言います。「沈め」は、単色の材料を使う場合がほとんどですが、当店では「千代紙」をおすすめしております。
千代紙は、いろいろな色が使われること、図案の輪郭に「金色」が使われることで、まわりの生地との色馴染みがよく、また、細い隙間からみえる複雑なパターンが、落ち着きの中にも豪華さがかいま見え、合わせる作品に向き不向きはありますが、非常に存在感のあり、かつ、上品な仕上がりとなります。
通常、白地の金襴などを使用する一文字に共布を使い、沈めによって一文字部分を表現するデザインにしてみました。まわりの生地と千代紙の選択は、ご来店頂いたお客様とじっくり検討して決定いたしました。
隙間から覗く、複数の色と金色の輪郭で、繊細さと豪華さを併せ持つ雰囲気に仕上がっています。
軸先は焼き物。いぶしたような金色が今回のデザインとマッチしていると思います。
お選びいただいた裂地の在庫を切らし、調達に時間がかかってしまいましたので、長らくお待たせしてしまいましたが、先日、無事納品させていただきました。たいへん喜ばれておられました。ご満足いただけたようで、良かったです。