展覧会返却作品の複製の軸装

DSCN2265お客様より、所属する会の展覧会から返却された裏打ち済みの作品の軸装をご相談されましたので、複製を作成し軸装することをご提案させていただきました。

お客様のお宅は床の間がないとのことで、賞を頂いたこの作品をどう飾るか悩んでおられました。お手伝いさせていただいた別のお客様の個展で、こちらのお客様をご紹介いただいたのですが、その際、当店が仕立てた掛軸のデザインを気に入って下さり、スッキリしたこのデザインなら床の間ではない場所にも飾れるとご依頼下さいました。

出品より返却された作品は、額装用の厚い裏打ちがされている場合がほとんどですが、巻きグセが強くいため扱いにくく、また、近年は作品が大型化して おり、お客様ご自身の手で有効に活用されている、と言うお話はあまり聞きません。軸装すれば収納はコンパクトで、飾るのもお手軽ですが、裏打ちされた作品 は、「剥がし」という作業が必要となり、デリケートな作業のため費用がかさみます。今回はオリジナルではなく、複製を掛軸にさせていただくことにいたしました。

NCM_0136作品を楮二層紙に印刷しました。

コシのない紙はプリンタを通すことができませんが、楮二層紙は表面の楮紙と裏面の木材パルプ紙の2枚に剥がすことができ、薄くできますので軸装に最適です。

DSCN2294印刷された裏打ち前の楮紙。薄いので透け感があり、良い感じのムラがあります。

DSCN2305雅印付近の拡大。印刷の品質と楮紙の質感がお分かりいただけるでしょうか。作品および雅印の画像は360dpiと粗いですが、粒状感などは感じられません。雅印のサイズは20mm角です。

DSCN2276生地は綿パーと灰色地の金襴です。

DSCN2282通常、白地の金襴を使用する「一文字(いちもんじ)」の部分に共布を使い、「沈め」という技法のラインで一文字を表現したデザイン表具です。

DSCN2279軸先は焼き物。

DSCN2292巻いた様子。

作品サイズは通常の半切より大きい、幅約410mm×高さ約1630mmでしたので、紐部分を含め、掛軸の高さは約2370mmとなりました。

収めさせていただいた際は、スッキリしたデザインが作品を引き立てていると大変喜んでいただき、また、印刷のクオリティにも大変感心されておられました。

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