用紙にはほんのりと生成り色の成分が含まれており、スキャナの設定次第で、その色を取り込んでしまうこともありますが、「まるで書かれたような」印刷を目指すためには、それを目立たなくし、作品の墨色だけにする作業が必要です。
まず、スキャニングはRGB24ビットカラーで行います。印刷するためのものは、CMYKのデータを使うのが基本なのでしょうが、当方ではスキャン~印刷までRGBです。ソフトウエアにはカラーマネージメントの機能があり、適切に設定すると印刷のカラーをシミュレートしてくれるのですが、色のレンジが狭まり、安価な当方のモニタでは作業がやりにくく感じるため、設定しておりません。そのため、印刷時のテストプリントに手を焼くことになるのですが。
最もシンプルな方法は階調補正で紙色を飛ばす方法です。スキャン画像をグレースケールに変換すると、紙色は薄いグレーとなりますので、「調整」~「コントラストの向上」 で、白側の数値を下げて薄いグレーを飛ばしてやります。
残したい「墨の薄い部分」と「紙色」の明度差が小さいとか、シミなども処理したい場合は、色をサンプリングしてその色を消す方法があります。シミは、たいてい茶系なので、紙色の色相と近いです。手順は以下のとおり。
- シミの部分の色をスポイトツールでサンプリング。最も濃い部分では効果がかかりすぎる場合があるので、ある程度は手動で消すことを考慮してサンプル部分を選ぶ。塗りつぶす色が濃いほど、残る作品部分の階調飛びが激しくなる。
- 塗りつぶしカラーのダイアログを開き、「フォアグランドカラーの使用」ボタンを押す。
- バケツツールを選択し、ペイントモードを「除算」に設定。
- 全体を塗りつぶすと紙色やシミが白くなる。
- 色相が変化し、レンジも狭まっているので、グレースケールに変換し、コントラストの調整をする。
点状のシミが数多くある古い作品の場合などには有効な方法ですが、「コントラスト調整」画面のグラフを見てお分かりいただけるように、階調飛びが発生し、原理的に画像は等高線上になるはずです。が、わたくし自身の目で判別できるほどになったことはありません。
気になる場合は、「効果」~「フェード」~「スマートフェード」 で目立たなくできるかと思います。
工程は「CorelPhotoPaintX3(13)」でのものですので、用語は適宜お手持ちのソフトのものに置き換えて下さい。