珈琲カップの掛軸

cofeecupお客様より、若い頃に書かれたという寸松庵色紙を頂いたので、電子化して画仙紙に印刷し、掛軸に仕立ててみました。

古い書籍に色々寸法の割法が書かれています。代数が普及する以前からの口伝であったのか、持って回った言い方でわかりにくいのですが、数式にしてみると大したことが書かれているわけではありません。

基本は、上下のパーツの大きさの比が2:1ということで、これは座って見上げた時に違和感なく鑑賞できるように、との配慮かと思われます。現代では立って鑑賞するなど、視点が上がってきており、下の寸法の比を多めにすると現代的に見えると師匠に教わりました。

今まで見てきた表具の寸法は、天が1尺2寸から1尺5寸といったところで、各部の寸法はそこから割り出します。天地部分の寸法は、作品の大きさによって大きく変えられることはありません。小さい作品でも大きな作品と同じ高さの天を取ることがほとんどで、昔、作品に合わせてスケールダウンしたものを試作したことがあるのですが、掛軸のオモチャのようになってしまいました。

以前、骨董がお好きな別のお客様の依頼で制作した「蛤」の作品が印象に残りました。半紙横でも成立しそうなサイズの絵を、大きな半切の下の方に配し、大胆に余白をとった作品でした。写真の作例は、その作品に影響を受け、お客様の許可を頂いて再構成したものです。

作品のサイズは幅が5寸、高さは1尺5寸5分です。裂地は綿パーで、天が1尺5分、地が6寸2分、柱は1寸2分です。色はコーヒーをイメージさせる色合いのものが丁度良く余っていました。周りの面積が大きいと、周りが勝ってしまうと感じたのと、コンパクトにすれば掛ける場所を選ばないだろうとの考えで、各部分の寸法を加減しました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

nineteen − twelve =