以前、先生より許可を頂いて複製し、額装してお店に飾っていた扇面の作品を、掛軸に仕立てさせていただきました。素材はインクジェット用のポリエステルで、端(みみ)折り、総裏もしてある、本格的な作りの掛軸です。
背景の桜は素材集の画像をそのまま使用しています。寸法は、伝統的な掛軸寸法を参考にし、天を1尺3寸、地は8寸ほどとしてあります。古い表具は天地が2:1となっていますが、それは座って鑑賞することが多かったためと思われ、現代で立って鑑賞するなど、視点が上になってきており、下を長めに取ると現代的に見えると言われています。かと言って、作品をまん中に持ってくると、土産物店で売られているような、一枚で印刷された「掛軸風の壁掛け」のような印象になり、我々掛軸を見慣れた者には違和感を感じてしまいます。斬新なデザインを目指すにしても、伝統的な寸法の割合を参考にすることは、重要なことと感じました。