デザイン表具の色彩

NCM_0115岡本匡行さんの個展に際し、作品を複製し、掛軸に仕立てさせていただきました。

一般的には白地の金襴を使う「一文字」を共布とし、絵が引き立つよう、スッキリとした現代的な感覚を目ざしました。和の空間でなくても飾れるものになっていると思います。

NCM_0120ラインは灰色地の金襴で、「沈め」という技法で入れています。「沈め」で一文字を表現する、というデザイン手法は当店のオリジナルではありませんが、伝統を現代的な感覚で再構築するこのデザインは、斬新過ぎることも、落ち付き過ぎることもなく、幅広い作品にお使いいただけると思います。

198001070739絵画の掛軸や額の色彩を考える時に、作品に使われている色彩の一部を取り入れるとまとまる、という定石があります。インクジェットプリンタで作品を複製する場合、使用している色の抽出は容易ですので、沈め用の材料を同時に出力し、葉に使われている色と沈めの色を合わせてみました。

作者の方に見せた所、かなり気に入っていただけたのですが、わたくし自身は「合い過ぎ」と感じました。濃い色の地に、かなり鮮やかなグリーンのラインですので、そこだけ目立つのです。色々悩みましたが、沈めの色を変更することにいたしました。

過去に、紺地に灰色地の金襴の沈めを入れた、全く同じデザインを別のお客様で作らせて頂いたことがあったのでイメージはわかっていましたが、全体を作りなおす材料も時間もなかったので、細く切った材料で沈めを埋めることにしました。幅は1.5mmですので、ほつれ止めはかなり大変でした。

今回のほつれ止めの方法、また、材料をごく細い幅に、均等な幅で裁断する技法は改めて説明します。

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