電子工学の専門教育は受けたことがありませんので、電子工作に関しては全くの独学ですから、今でもイチから回路を設計する事はできず、子供の頃は製作記事通りの基板を製作して市販のケースに収めたり、ということを楽しんでいました。
中高生になり、色気づいてくると軽音楽に興味が出てくるので、工作の興味の対象もラジオなどからエフェクターに移ってきたりしました。
写真の書籍は「エフェクター自作&操作術’81」というムック本で、誠文堂新光社の「子供の科学」「初歩のラジオ」、電波新聞社の「ラジオの製作」とはまた違ったノリのエフェクター(エレキギターの信号を加工し、音色を変化させる装置)の製作記事が展開されています。各種受動部品からオペアンプに至るまでの基礎が解説してあり、わたくしの電子工作の基礎は、時たま買う「初歩のラジオ」「ラジオの製作」と、この書籍の記事が基礎になっていて、この書籍に至っては真ん中から半分にちぎれ、表紙裏表紙がなくなるまで、繰り返し読みました。
近年は、中高年がバンドブームだそうで、エフェクターの自作などもされる方が多いのか、写真のようなケースが売られていてちょっとびっくりします。
今回のエフェクターは、書籍の回路図をそのまま、基板は自分で描き直し、製作したものです。電子工作というと、基板は基板で製作し、市販のアルミケースに実装し、可変抵抗などとはビニール線でつなぐことが一般的ですが、お手軽な反面、あまりコンパクトにすることができません。
学生の頃と違ってパソコンが使えるようになったので、グラフィックソフトを使い、可変抵抗も基板上に実装するよう基板を描いてみました。大学生の頃は、ICの足の間隔(1/10インチ=2.54mm)の方眼紙など売っていなかったので、5mmの方眼紙を大学生協で縮小コピーして使っていたりしましたが、コーレルドローなら描画パーツを吸着させる「グリッド」を自由に設定できるので、2.54mmに設定すると便利なことこの上ありません。また、レイヤという仮想の透明シートを重ねる機能もあるので、部品レイヤ、パターンレイヤなどに分け、それぞれ表示をオン・オフできることも大変便利で、いろいろ試行錯誤できるので、はじめは大きかった基板も、だんだん小さくしてゆくことができ、その結果、コンパクトに構成することができ、市販品と同じようなサイズに収めることに成功したので大変気に入っています。
オーバードライブと言うのは、音を歪ませて迫力を出すためのエフェクターです。
同様の機能を持つものに「ディストーション」というものがあり、過大に増幅した信号の振幅をダイオードなどで制限し、正弦波に近いギターの出力を矩形波に近づける仕組みとなっています。オーバードライブはそれ以外の方法で、マイルドな歪を得ているものを指すようです。この製作記事では、真空管の特性に近いC-MOSという素子を使い、増幅度曲線の非直線部分を使って歪を得ているとのことです。波形が矩形波に近づくと耳障りな奇数次の倍音が付加されるのに比べ、この製作記事の回路は偶数次の倍音がより含まれるので心地よい、真空管サウンドより近い音になる、と書いてありましたがどうなのでしょうか。演奏活動など全くしないので、真空管のギターアンプなど使ったことがありませんから、比べようもありませんが。
某社のカラフルなエフェクターに従い、黄色く塗りたいところですが、足で踏んづけて使うものですので、素人の塗装では悲惨な結末が目に見えています。鋳物のようなので細かい「す」などはあるでしょうが、磨いてピカピカにすることによって仕上げとしました。