電子工作のレベルがアップしてくるとプリント基板が作りたくなります。プリント基板とは、銅箔が貼られた樹脂の板の、銅箔の不要部分を薬品で溶かし(エッチング)、電線で接続する代用として回路を組むための板です。
ネックになるのが「レジスト」と言って、溶かす際に残したい部分に塗る素材です。昔の製作記事などには油性のフエルトペンを使うように書いてあったり、基板のメーカーから専用のフエルトペンが出ていたりしたのですが、エッチングに使う薬液(塩化第二鉄水溶液)はかなり強力で、溶かしたい部分が溶けきる前にレジストが剥がれてきたりします。
自分は、極細の塗料のペン(ペイントペンなど)を使っていましたが、ICの2.54mmピッチには若干太く使いづらかったです。金属製のペン先のものが具合が良かったのですが、1回買ったあと、どこで探しても見つかりませんでした。その後、プラモデル用の塗料をつけペンにつけて使うことを思いつき、長らくその手法が自分の標準でした。コピーした基板の図を生基板に貼り付け、尖ったもので穴あけ部分に印をつけ、それをペンでつないで行きます。インクではなく塗料ですので塗膜の耐久性は文句なしでしたが、不注意によって描画中に塗料がボタ落ちしたりするので、そう使い勝手が良いわけではありません。
近年は、アマチュア用のPC接続のフライスで不要部分を削り取って基板を作ることもされているようで、個人的にも大変興味がありますが、機器の費用が馬鹿になりません。アマチュア用の機械の本体は手が出しやすい価格ですが、先端工具を回転させるモーターが小さいので、そのモーターが2~3回で使い捨てだとか、その上の機種のセミプロ用は本体が24万円だとか、という話ですので簡単には手が出ません。
不要部分を取り除く、というのはカッティングマシンも同様ですので、Stikaで作ってみようと思いました。文字は読めればいいのでさほど精度は必要ではなく、基板では精度が問題になりますが、Stikaなら、グラフィックソフトで基板を描画したら、すぐレジスト製作に入ることができます。速度を落としたり、描画の鋭角部分をなくすよう注意したり、何度が試行錯誤が必要でしたが、ICピッチ(1/10インチ=2.54mm)までなら実用になることがわかりました。