ベクトルデータとビットマップ(ラスタ)データ

ベクトルグラフィックとは、多角形の頂点の座標と、それらがどのような曲率の線で結ばれているかや、その線の太さ、図形の色などを関数として格納す る画像データのことです。画鋲と画鋲の間を針金や輪ゴムなどで結んで図形を描画するイメージです。ロゴマークや家紋などのデザインをするのに向いていま す。座標や曲率から図形が描画されますので、原理上、拡大しても画像がギザギザになることがありません。プリンタドライバで設定した最高解像度で出力され ます。

また、後述するビットマップ画像と比べると、非常にデータ量が小さいです。色は図形の属性として設定されているので、瞬時に変更す ることが可能で す。生地の文様や地色をいろいろ変えて印象を確認したり、柄の大きささえ変更することも容易です。当店ではこの特徴に着目し、インクジェット用ポリエステ ルで、掛軸の布地をプリントで構成する研究をしております。その成果はこのブログで発表してまいりますのでご期待ください。

ベクトルデー タの作成や加工には、慣れや技術が必要です。性質上、点の集合であるデジカメやスキャナの画像をそのまま扱うことはできません。オリジ ナルのパターンや古来からの文様などを取り入れるには、高解像度の画像がある場合はソフトウエアのオートトレースの機能が有効に働く場合もありますが、た いていは、ほぼ手作業での作業が必要となります。そのテクニックも機会があればお伝えします。

ラスタデータ(ビットマップデータ)

墨作品のデータを電子化した場合は、ラスタ データ(いわゆるビットマップデータ)と呼ばれるもので、点(画素)の集合したものです。デジカメなどの画像がこの形式です。当店でこのデータを加 工するのは、CorelPhotoPaintです。作品の電子化にはスキャナと呼ばれる装置を使ってパソコンに取り込みますが、紙色や紙の汚れ、シワによ る影などが写り込み、そのままでは使えません。それを画像処理で綺麗にするテクニックもお伝えします。

点の密度を解像度と言い、インチあ たりの画素数で表記するのが一般的です。あまりに大きなデータは、画像処理時や印刷時にパソコンに負荷をかけま す。美術品は離れて鑑賞するものですので、どの程度の解像度が必要十分なのか、いずれ経験から得た感触をお伝えできればと思っております。

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